リモートワーク中の心と体の不調に 短時間運動のすすめ
リモートワークが一般的になり、自宅やオフィスで長時間デスクに向かう時間が増えた方も多いのではないでしょうか。通勤時間がなくなり便利になった反面、座りっぱなしの時間が長くなり、肩や腰の張りだけでなく、なんとなく気分が乗らない、集中力が続かないといった心身の不調を感じやすくなっているかもしれません。
このような状況で、心と体の健康を保つために注目されているのが「短時間運動」です。大掛かりなトレーニングや長時間の運動は必要ありません。たった数分でも、あなたの心と体に良い変化をもたらす可能性があります。
なぜ短時間運動がリモートワーク中の心身に良い影響を与えるのか
リモートワーク中に感じる心身の不調は、長時間同じ姿勢でいることによる血行不良や体のこり、そして環境の変化や不規則な生活リズムからくるストレスや自律神経の乱れなどが複合的に影響していると考えられます。
ここで短時間運動を取り入れることがなぜ有効なのか、いくつかの理由をご紹介します。
- 血行促進と体へのメリット: 短時間でも体を動かすことで血行が促進されます。これにより、凝り固まった筋肉がほぐれやすくなり、肩や腰の不調の軽減につながる可能性があります。また、脳への血流も改善され、眠気やだるさの軽減に役立つことも期待できます。
- 気分転換とメンタルへのメリット: 座りっぱなしの状態から体を動かすことは、物理的に環境や姿勢を変えることになり、手軽な気分転換になります。軽い運動によって脳内でセロトニンやエンドルフィンといった気分を安定させたり高揚させたりする神経伝達物質の分泌が促されることも科学的な知見として知られており、ストレス軽減や気分の落ち込みの緩和につながる可能性があります。
- 集中力の向上: 短時間運動で体と脳に適度な刺激を与えることは、その後の作業への集中力を高める効果が期待できます。休憩時間に取り入れることで、リフレッシュして効率良く作業に戻ることができるでしょう。
- 自律神経の調整: 軽い運動は、心拍数や呼吸を整え、自律神経のバランスを整えるサポートとなります。特にデスクワークで交感神経が優位になりがちな場合、適度な運動は副交感神経とのバランスを整える助けになることが期待できます。
デスクワークの合間にできる具体的な短時間運動
ここからは、リモートワークやデスクワークの合間に、特別な道具や広いスペースがなくても簡単にできる短時間運動をご紹介します。それぞれの運動は1分から3分程度で完了できるものを選んでいます。
- 肩甲骨回し(1分): 座ったままでOKです。両肩に軽く手を置き、肘で大きな円を描くようにゆっくりと前回し、後ろ回しを数回繰り返します。肩周りの血行が改善され、こりやだるさの軽減に役立ちます。
- 首のストレッチ(1分): 背筋を伸ばして座り、ゆっくりと首を前後左右に倒したり、回したりします。無理のない範囲で、首筋の伸びを感じましょう。長時間のPC作業で緊張しがちな首の筋肉をほぐします。
- 座ったまま体幹ツイスト(2分): 椅子に深く座り、背筋を伸ばします。息を吐きながら、ゆっくりと上半身を左右にねじります。可能であれば椅子の背もたれを軽く掴みながら行うと、より効果的です。お腹周りや背中の筋肉を使い、姿勢改善やリフレッシュになります。
- 軽い足踏みや屈伸(3分): 立ち上がって、その場で軽い足踏みをしたり、浅い屈伸を数回行います。足の筋肉を動かすことで全身の血行が促進され、眠気覚ましや気分転換になります。部屋の中を軽く歩き回るだけでも良いでしょう。
- 伸びと深呼吸(1分): 立ち上がって両腕を高く上げ、背伸びをします。大きく息を吸いながら体を伸ばし、ゆっくりと息を吐きながら力を抜きます。深呼吸を数回繰り返すことで、心身の緊張が和らぎ、リラックス効果が期待できます。
これらの運動は、あくまで一例です。ご自身の体調や気分に合わせて、心地良いと感じる動きを取り入れてみてください。
短時間運動をリモートワークの習慣にするヒント
短時間運動の効果を感じるためには、継続が重要です。リモートワークの環境で運動を習慣にするための具体的なヒントをいくつかご紹介します。
- 休憩時間とセットにする: 作業の区切りとなる休憩時間(例えば、ポモドーロテクニックの5分休憩など)とセットで短時間運動を行います。「休憩に入ったら〇分間体を動かす」とルール化すると、取り組みやすくなります。
- リマインダーを活用する: スマートフォンのアラーム機能や、PC用のリマインダーアプリを使って、定期的に運動の時間を知らせてもらいましょう。意識しなくても行動を促されるため、忘れることを防げます。
- 小さな目標から始める: 最初から毎日完璧に行おうとせず、「週に3回、休憩中に3分だけ肩を回す」など、達成しやすい小さな目標から始めます。成功体験を積み重ねることが、継続へのモチベーションにつながります。
- 「ついでに」行う: コーヒーを淹れる間に足踏みをする、オンラインミーティングの合間に軽いストレッチを入れるなど、既存の行動に「ついでに」運動を組み込む工夫をします。
- 記録をつける: 簡単なメモでも良いので、運動した日や内容、その時の心身の状態を記録してみましょう。自分の変化を視覚化することで、効果を実感しやすくなり、継続の励みになります。
- オンラインで仲間と行う: 同じリモートワークをしている友人や同僚と時間を決めて、オンラインで簡単な運動を一緒に行うのも良い方法です。程よい連帯感が継続をサポートしてくれます。
まとめ
リモートワークによる長時間のデスクワークは、私たちの体だけでなく心にも負担をかける可能性があります。しかし、たった数分でも意識的に体を動かす「短時間運動」は、血行を促進し、気分転換になり、集中力を高めるなど、心身の不調を和らげるための有効なセルフケアとなり得ます。
今回ご紹介したようなデスク周りで簡単にできる運動を、休憩時間や作業の合間に少しずつ取り入れてみてください。そして、リマインダーの設定や小さな目標設定など、継続のためのヒントも活用しながら、無理なく習慣化を目指しましょう。
短時間運動は、心身の健康を維持し、リモートワーク生活の質を高めるための身近なツールです。今日から、あなたの「ココロとカラダの時短運動」を始めてみませんか。
なお、この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断や治療を推奨するものではありません。もし心身の不調が続く場合は、医療機関や専門家にご相談されることをお勧めいたします。